有名なダイヤモンドシリーズの中でも、Koh-i-Noor(コイヌール)は最もミステリアスな過去を持つ一品です。正確にいつ発見されたかは知られていないものの、インドのゴルコンダ地方で発見されたと言われており、この初期の歴史については何世紀も論議の的になっています。
「世界全体の半日分の生活費」の値打ちになる大きなダイヤモンドは、インドのムガル帝国初代君主、バブール(1483-1530)の手記に述べられています。Koh-i-noorと考えられているバブールのダイヤモンドは、幾度も持ち主が変わり、何世紀にも亘りインドやペルシャの君主が所有していました。
現在の名前が付けられたのは、Nader Shah(ナディール シャー、1688-1747年)がこのダイヤモンドを手に入れた1739年と言われています。初めてそれを見て、彼は「山の光」を意味する「Koh-i-noor」と叫びました。
ラホール条約でイギリスにパンジャブ地方が譲渡された中で、Koh-i-noorは1849年にビクトリア女王の手に渡りました。1850年にダイヤモンドはイングランドに到着し、186オールド カラットの重量と報告されました。底部は平らでカットはあまり良くなく、アームレットにセットされていました。1852年、主にアルバート王子の提案により、Koh-i-noorはビクトリア女王のために再度カットされ、これにより重量が相当失われました。現在、ダイヤモンドはオーバル モディファイド ブリリアントカットで、105.60カラットの重量があります。
Koh-i-noorは身につける者誰にでも悪運をもたらすという伝説があり、イギリスの手に渡ってからは、女王もしくは女王の配偶者のみが身につけています。ダイヤモンドはこれまで、ビクトリア女王、アレクサンドラ女王、メアリー女王、エリザベス女王が身につけました。1937年、エリザベス女王のためにデザインされた、夫であるジョージVI王の戴冠式でつける王冠にセットされました。Koh-i-noorは現女王の母であるエリザベス皇太后の王冠にセットされており、英国王冠宝石のひとつとして、ロンドン塔に展示されています。
Elizabeth Taylor Diamond(エリザベス テイラー ダイヤモンド)、Cullinan II(カリナン II)、Orlov(オルロフ)についての詳細は、GIAの有名なダイヤモンドシリーズをご覧ください。
この記事は2014年3月4日に掲載されました。最終更新日:2019年10月11日
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