ヴィンテージの婚約指輪とレトロ期のカクテルリングは、外観が独特です。 ゴールドのマウンティング、バゲットダイヤモンド、カラーストーン、インビジブル・セッティングは、そのデザイン要素のほんの一部です。 魅力あふれる作品の再現方法をここで紹介しています。
レトロ期は、大恐慌と第二次世界大戦を含む、だいたい1935年から1950年代までの間です。 その基盤は、それ以前のアールデコの時代にさかのぼります。 ジュエリーデザイナーたちはアールデコの大胆な線と幾何学的図形を採用し、カーブをつけて印象を和らげ、彫刻的な質を持つ作品を作り出しました。 プラチナは軍需用として備蓄されていたため、金属には通常ゴールドが選ばれました。 彼らはまた、ルビー、サファイヤ、エメラルドの鮮やかな色の組み合わせを使用しました。レトロ期が進みアールデコの時代から遠ざかるに連れて、デザイナーたちはトパーズ、シトリン、グリーンベリル、アクアマリンなどの石を使い、控えめな色を取り入れるようになりました。
レトロ期に生まれた本物のヴィンテージ婚約指輪を見つけるのは、容易ではありません。 戦禍により、多くのジュエリー会社とその在庫が破壊されました。 戦時中は金属の使用量を減らし、価格を抑えるため、ジュエリーデザインがよりシンプルで軽量なものとなりました。 戦闘が終わると世界中の数えきれないほどの作品が壊され、素材は別の目的に使用されました。
宝石職人はこうした課題に応えるべく、独創性のある方法を編み出したのです。 カラット数の低いゴールドと高い割合の銅を合わせた合金にする、というのもそうした新しい工夫の一つでした。 その結果、魅力的な赤みがかった色合いのゴールドが生まれました。 内部の詰まったものではなく空洞のチェーンや、高価でない大粒の石の使用なども、物が不足していたこの時代に生まれたテクニックです。 これにより、宝石職人は費用を抑え、大きく見える作品を生むことができました。
レトロ期の婚約指輪に使用されているダイヤモンドは小粒です。戦争で資源が奪われ、宝石の供給ラインが止まっただけでなく、軍に入隊した男性たちはジュエリーに費やせる可処分所得があまりありませんでした。 イリュージョンセッティングとホワイトゴールドを使った細部の装飾は、宝石職人が小さな石を大きく見せるためにしていた工夫です。
この時期の婚約指輪は質素だとしても、同時代のカクテルリングは活力にあふれ、印象的でした。 禁酒法時代(1920~1933年)に人気があったカクテルリングは、飲酒を禁じる法律を誇らしげに無視する人のシンボルでした。
レトロ期にスタイルに変化があった後も、派手で大ぶりというデザインの特徴はおおむね変わりませんでした。
円筒形、スクロール、扇形、角柱、アシメトリーなどが、スタイルのモチーフとして一般的でした。 金属としてはレッドとイエローのゴールドが好まれました。繰り返しになりますが、軍事産業の需要により、プラチナが使われることはあまりありませんでした。
レトロ期の宝石職人が婚約指輪制作の際に直面していたこれらの課題を考えると、ヴィンテージ婚約指輪の探索をするうちに、この時期のデザインモチーフを使用しカクテルリングからヒントを得た、自分なりの指輪を作ろうと思い至るかもしれません。
そうしたレトロスタイルを得るための、特徴的なデザイン要素は次のとおりです。
ヴィンテージ婚約指輪: 彫刻的にする
レトロのデザイナーはアールデコのジュエリーが持つくっきりした角のある線を採用し、カーブのついた角にデザインし直しました。 幾何学的図形もまた、アールデコのジュエリーでは二次元でしたが、レトロ期には三次元へと外観が変わりました。 これによりジュエリーにはがっちりとした、彫刻的な質感が加わりました。 当時のできごとや時代の精神もまた、ジュエリーデザイナーたちに影響を及ぼしました。 機械化の時代の真っただ中で、第二次大戦もその爪痕を残しました。 ギヤ、シリンダーなど、あらゆる種類の機械に関する物が、大胆で新しいデザインにインスピレーションを与えました。 リンクは戦車の軌道にそっくりで、チェーンはガス管に似ていました。
ヴィンテージ婚約指輪: 大胆な色を取り入れる
上で述べたとおり、レトロ初期のジュエリーでは大胆な色のコンビネーションがよく見られました。 スタイルがアールデコから変遷を遂げるにつれ、ルビー、 サファイア 、 エメラルドが好んで使用されました。 トパーズ、シトリン、グリーンベリル、アクアマリン などの抑えた色の宝石が、のちに人気を博しました。 ですから、色のある宝石を加えることは、婚約指輪にレトロスタイルを吹き込む一つの方法です。
ヴィンテージ婚約指輪: イエローまたはローズのゴールドで温かみを
第二次大戦中、プラチナはその可鍛性および耐酸性と高い融点から、軍事産業で需要が高まっていました。 製造業者は、プラチナを戦争のための管、ヒューズ、スパークプラグ、爆発物に使用していました。 そのため宝石職人はゴールドを使用し、これがレトロ期にヴィンテージ婚約指輪で圧倒的に多く使用される金属となりました。
戦時中の金属制限により、宝石職人は独創的にならざるを得ませんでした。 カラット数の低いゴールドを使用しなければならず、大抵は、より大量の銅と合わせ、魅力的な赤みがかった色合いの合金を作っていました。 温かみのある、美しい色合いのローズゴールドは、今では現代的な婚約指輪でも人気があります。 別の合金からは他の色合いのゴールドが作り出され、これらは一つの作品のジュエリー内で混ぜて使われることが多くありました。
ヴィンテージ婚約指輪: レトロスタイルのセッティングを検討する
上述のイリュージョンセッティングは、センターストーンを大きく見せるという理由で戦時中の花嫁や花婿に人気がありました。 こうしたセッティングは今も人気があり、レトロスタイルを手に入れる簡単な手段となります。
彫刻された星の中央に宝石を納めるスターセッティングは、レトロ期のジュエリーで繰り返し使用されたもう一つのモチーフです。 このイメージは、それを身に着ける者を、当時の苦労から遠く離れた、思いやりにあふれた世界へと逃れさせてくれたのかも知れません。 これはレトロスタイルを完成させるため、結婚指輪にも使用できるモチーフです。
レトロ期にやはり人気が高かったのが、インビシブルセッティング、いわゆる「ミステリー」セッティングです。 1930年代にVan Cleef & Arpels(ヴァン・クリーフ&アーペル)が特許を取得したこのテクニックでは、宝石の周囲の金属が見えなくなります。 宝石のガードルの下に特殊な溝が彫られ、宝石はこの溝にフィットする金属製のレールを使用して留められています。
ヴィンテージ婚約指輪: バゲットを加えてレトロルックを完成させる
長方形のステップカットのダイヤモンド(バゲットと呼ばれる)はレトロ期のジュエリーによく見られる。 サイドストーン およびデザイン要素として使用されるバゲットが、エレガントで洗練された外観を生んだ。
レトロ期は、指輪のデザインに素晴らしいバラエティをもたらしました。そのため、あなたを待つインスピレーションが尽きることはありません。 自分のデザインが決まったら、ダイヤモンドの購入を始められることでしょう。 ショッピングを始める前に、ダイヤモンドの品質の4Cについて知っておいてください: カラー、クラリティ、カット、そしてカラットです。
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