婚約指輪のセッティングは美しく、また実用的でなくてはなりません。 セッティングは指輪のスタイルを決め、ダイヤモンドにドラマを添えるほか、ダイヤモンドを紛失や破損から守ります。 適切なセッティングとバンドはまた、ダイヤモンドを大きく、より輝いて見せることもできます。
サイズの錯視効果を生み出そうと考えているならば、ダイヤモンドを「大きくする」ことのできる婚約指輪のセッティングのヒントがこちらにあります。ですが、まず、インターネットで見られる疑わしいおすすめのことばが偽りであることを証明しましょう。
ダイヤモンドを大きく見せない もの
ダイヤモンドの形とカラット重量: ラウンド、長方形、楕円形、ペア(洋ナシ形)、マーキスなど、ダイヤモンドの輪郭がダイヤモンドの大きさの全体的な印象に幾分か影響を与える一方、 ダイヤモンドの形 だけが石を大きく見せることの保証にはなりません。 ダイヤモンドのカラット重量についても同じことが言えます。 あるダイヤモンドが、同じ形の別のダイヤモンドより重いというだけで、大きく見えることを意味するわけではありません。 同様に、一つのダイヤモンドが同じ形や重量のものより大きく見えたとしても、全体的な魅力では劣るということもあります。 それはあらゆる要素、特にダイヤモンドのカットの質とダイヤモンドの重量の配分に関連した要素が絡んでいるためです。
以下にいくつか例を挙げます。
- カットのプロポーションが浅いダイヤモンドは、物理的には広く、長くなりますが、見た目の美しさはかなり落ちます。 浅いダイヤモンドのクラウンに入る光の多くがパビリオンを通って外へ漏れ、その結果ダイヤモンドがくすんで魅力に欠けるものになってしまうためです。
- パビリオンが浅い(38パーセント未満)場合、「フィッシュアイ」効果が生まれ、テーブルの下で見栄えの悪いグレーの輪が見られることがあります。 (パビリオンの深さはガードル面の下からキューレットまでの距離として測定する。)上に示したとおり、ダイヤモンドは物理的には広く、長くなりますが、石の外観は薄く、くすんだものとなります。
クラウン、パビリオン、ガードル、キューレットとは? ダイヤモンドの解剖学について詳しく学びましょう。
- マーキス、ペア、ハート型のダイヤモンドでは、とがった先端に近い側面をウィングと呼びます。 ウイングがあまりに平らな場合、石が狭く見えてしまいます。 丸みを帯びすぎていても、石は短く太く見えてしまいます。
ホワイトメタルのバンド: 婚約指輪のセッティングに関する誤解でよくあるのが、ホワイトメタルのバンドが鏡のような役割を果たし、ダイヤモンドの像が映し出されてサイズが拡大される、というものです。 この論理は妥当なようにみえますが、ローズゴールドまたはイエローゴールドのバンドがダイヤモンドと対照をなしてダイヤモンドを大きく見せることがある、という考えに至ることでしょう。 ですから、ホワイトメタルのバンドは絶対に確実な方法というわけではありません。
色の付いた宝石: アクセント用のカラーストーンは、センターストーンと劇的な対照を成しますが、ダイヤモンドを大きく見せるでしょうか?必ずしもそうではありません。 カラーストーンはダイヤモンドと張り合うため、目をそちらに奪われると言われれば納得できます。
細いプロング:婚約指輪のセッティングに関する通念で厄介なのは、プロングがダイヤモンドを覆う部分が少ないほど宝石の露出部分が多くなるため、大きく見える、というものです。 これは技術的には正しいかもしれませんが、お勧めしません。 プロングには、ダイヤモンドを所定の位置にしっかりと留めるという欠かせない機能があります。 プロングに必要なサイズや数を惜しむと、ダイヤモンドを紛失するリスクが生じます。
何がダイヤモンドを大きく見せるか
ダイヤモンドを大きく見せようとお考えなら、検討すべき婚約指輪のセッティングがいくつかあります。
イリュージョン セッティング: 大粒のダイヤモンドを購入できる者がわずかしかいなかった1930年代大恐慌の時に、宝石職人はひだ状にしたホワイトメタルのヘッドにダイヤモンドをセットすることがありました。 光沢のあるメタルが波状になっており、ヘッド全体が、それが映しだしているダイヤモンドのように見えていました。 このセッティングはサイズの幻覚効果を生むには非常に有効であったため、現在も使われています。
- ヒント: イリュージョン セッティングの目的は無色に近いダイヤモンドを大きく見せることであり、この特定の効果を生むためにホワイトメタルが選ばれています。 ダイヤモンドの色がイエローの場合は、イエローゴールドのイリュージョン セッティングがより良い選択肢となります。
- ヒント: 0.50カラット(ct)未満のダイヤモンドは、婚約指輪のイリュージョン セッティングに適しています。 0.50ct以上のダイヤモンドの場合は、視覚的効果を出すイリュージョン セッティングに頼らず、そのまま見せるほうを希望されることでしょう。
クラスターセッティング: この婚約指輪のセッティングでは、同様のサイズの数個の小粒ダイヤモンドが並んでセットされます。 このテクニックはきらめきを最大化させ、使われている実際のメレーダイヤモンドよりも、かなり大きな(そしてより高価な)一粒ダイヤモンドのように見える錯覚を生みます。
- ヒント: クラスターセッティングには、カラーグレードが同じ、または同等のダイヤモンドが最適です。 ダイヤモンドの製造業者にはこの知識があり、こうした指輪の製作の際、カラーグレードを一致させます。 ですから、クラスターセッティングに使用する多数の小粒ダイヤモンドを選ぶことに関しては、心配する必要がありません。
- ヒント: 石を囲む金属が多いほど、保護がより確かなものとなります。 クラスターセッティングには金属が多く使用されます。 そのため、ダイヤモンドをより確実に損傷から守ります。
ヘイローセッティング: 小粒のダイヤモンドを光輪のようにセンターストーンの周りに芸術的に配置すると、センターストーンはそのヘイロー(光輪)のサイズに見えます。
- ヒント: 婚約指輪の製造業者がヘイロー用のメレーを選ぶため、婚約指輪のセッティング用に多数の小粒ダイヤモンドを選ぶことについては心配する必要がありません。
- ヒント: 0.50ct以上のダイヤモンドのセンターストーンがこの種類のセッティングには最適です。ヘイローのメレーがセンターストーンを引き立てるからです。 おそらく、それより小さいダイヤモンドの使用は希望されていないでしょう。サイズがメレーに近すぎるためです。 その組み合わせではおそらく、パヴェセッティングの中に他の石よりもいくらか大きいダイヤモンド一個(センターストーン)があるだけの指輪のように見えるでしょう。
- ヒント: ヘイローダイヤモンドのプロングは、摩耗が早いという傾向があります。 このスタイルにした場合、必ず宝石商で指輪を定期的にチェックしてもらうようにしてください。
パヴェセッティング:この人気の高いテクニックは、メタル表面の先細りになっている穴に0.20ct以下の多数のダイヤモンドを、互いにすぐ近くに埋め込んでいくものです。 パヴェはバンド内でダイヤモンドが連続しているように見せ、センターストーンを大きく見せます。
- ヒント: 婚約指輪のセッティングに使用されているパヴェセットのダイヤモンドは、ダイヤモンドが金属にセットされるため、通常、非常に安全に留められています。 ただし、ダイヤモンドが落ちた場合、ベンチジュエラーがそれを付け替えるのはより難しくなります。
- ヒント: シャンクの底にダイヤモンドをパヴェセットする婚約指輪のセッティングは避けましょう。 指輪のこの部分はかなり多くの摩擦にさらされるため、ダイヤモンドの紛失や破損が起きる可能性が高くなります。
ベゼルセッティング(覆輪留め): このスタイルのセッティングでは、金属の帯がダイヤモンドのガードルを囲んでいます。 その結果、ダイヤモンドの外周がより大きく見えます。 ベゼルセッティングの婚約指輪は、予期せぬ衝撃からの保護も強化します。
- ヒント: ベゼルセッティングは通常ラウンドやオーバル(楕円)のダイヤモンドに使用されます。 正方形や マーキスのダイヤモンドなど、他の形状にベゼルセッティングを使用するのはより困難となります。
- ヒント: ロッククライミングがお好きですか? ラクロスをされていますか? 激しい運動は? ベゼルセッティングはセンターストーンを保護するため、アクティブな人にとっては優れた選択肢です。
- ヒント: ベゼルセッティングでは、良いカットが施されていないダイヤモンドの場合、輝きが損なわれる可能性があります。
インビジブル セッティング: このテクニックでは、小粒ダイヤモンドを溝付きのパビリオンがある形にカットし、細いワイヤーの枠に滑り込ませます。 これによりプロングの必要がなくなり、宝石を互いに寄せ合うようにしてセットできます。 その結果、ダイヤモンド全体が見えるようになり、また複数のダイヤモンドは一粒の大きな宝石のように見えます。
- ヒント: 欠点が一つあります。 インビジブル セッティングのダイヤモンドが破損した場合、修理や交換が非常に難しいということです。 ですから、ダイヤモンドの婚約指輪にインビジブル セッティングを使うのは、アクティブな人にとってはおそらくあまり良い考えではありません。
ダイヤモンドを大きく見せるためのさらなるヒント
リングシャンクまたはバンドには細いものを選ぶ: これが目の錯覚を起こさせる方法です。 細いバンドはダイヤモンドを大きく見せることができます。 同様に、太いバンドではダイヤモンドが見劣りするかもしれません。
婚約指輪のセッティングにサイドストーンを追加する: 婚約指輪にきらめきと大きさを添える素晴らしい方法です。選択肢は無数にあります。 センターストーンの両脇にバゲットダイヤモンドを添えることもできます。 また、コントラストを生むカラーストーンを選ぶこともできます。 サイドストーンの周囲にさまざまな色の金属を使うこともできるでしょう。
パヴェやヘイローセッティングに使われるメレーにはない、サイドストーンを選ぶという選択肢があります。 ご質問があれば、熟練した目を持つ宝石商にお尋ねください。
最後になりましたが、非常に大切なのは、ダイヤモンドを清潔に保つということです。 ダイヤモンドを清潔にすることで大きく見えるということはないものの、遠くからでも「ダイヤモンド」であるということがわかる特徴的なきらめきを見せることになります。それこそが大切なことではないでしょうか。
ダイヤモンドのきらめきと言えば、ダイヤモンドの婚約指輪のきらめきを最も引き出すためのヒントと秘訣があります。
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