オーバルシェイプのダイヤモンドは縦長の丸みのある形で控えめな上品さを連想させますが、一風変わっています。 ブリリアントスタイルにファセットカットされると、ファイアーがラウンドブリリアントのダイヤモンドに匹敵します。 では、完璧なオーバルシェイプのダイヤモンドを選ぶ準備をしましょう。
この記事の内容は次のとおりです。
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの構造
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの歴史
有名なオーバルシェイプ・ダイヤモンド
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの注目すべき点
オーバルシェイプ・ダイヤモンド婚約指輪のセッティング
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの構造
オーバルシェイプ・ダイヤモンドは、ファンシーシェイプです。 ラウンドブリリアントダイヤモンドが両サイドに伸びたと捉えられますし、クッション型やクッションブリリアントの丸みを帯びたバージョンとも捉えられます。 美しいオーバルシェイプ・ダイヤモンドを選ぶには、各部を知っておく必要があります。
ヘッド(頭部)またはエンド(終端):楕円形の「チップ」。
ショルダー:ヘッド/エンドからベリーまでのカーブのある部分。
ベリー(腹部):両サイドのカーブが最も外に突き出ている中央の部分。
ブリリアントファセッティングスタイルにカットされた楕円形のダイヤモンドを目にすることが多くあります。スタンダードのラウンドブリリアントのように57か58個のファセットがあり、似たような見た目の品質のダイヤモンドです。 楕円形のダイヤモンドのファセット配置にはバラエティがありますが、最も一般的には、クラウンに8つのベゼルファセットとパビリオンに8つのメインファセットを組み合わせています。
多くの人々が楕円形のダイヤモンドを愛するわけには強い説得力があります。楕円形のダイヤモンドは、カラット重量が同等のラウンドダイヤモンドよりも表面積が大きく、見た目にも大きく映るからです。 楕円形は指を長く見せてくれます。 また、この形は角度や角が鋭くないため、楕円形のダイヤモンドは他のファンシーシェイプに比べて欠けにくくなります。
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの歴史
ブリリアントファセッティングスタイルは1700年頃に初めて登場しました。 ブリリアントカットのクッション型ダイヤモンドが主流であった理由は、カッターが原石の結晶の輪郭に沿って作業する傾向があったからです。 しかしダイヤモンドは、楕円形も含め様々な形のものがありました。 この当時、ダイヤモンドには形を表す名称は使われておらず、単に「ブリリアント」と呼ばれていました。1800年代後半になってようやく、初めてオーバル・ダイヤモンドという表現が記されていることが分かっています。
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの魅力が近年語られるようになったのは1957年からです。 オーバルシェイプ・ダイヤモンドは1998年から2001年に、マーケティングキャンペーンにあおられたこともあり、その魅力を吹き返し、また今、返り咲きしています。 Town & Country(タウン&カウンティ)誌によれば、オーバルシェイプ・ダイヤモンドは2016年のアメリカの消費者の人気第6位となりました(第1位はやはりラウンドダイヤモンドです)。
有名なオーバルシェイプ・ダイヤモンド
105.60カラット(ct)のKoh-i-Noor(コ・イ・ヌール)はおそらく最も有名なオーバルシェイプのダイヤモンドです。 価値がとても高く、「Koh-i-Noor(コ・イ・ヌール)を持つものは世界を制する」とも言われていました。ペルシアとインドの支配者が数世紀の間所有した後、このダイヤモンドは1850年7月3日に英国のヴィクトリア女王に贈呈されました。 現在では、1937年の即位式用にジョージ6世の妃、エリザベス女王(またエリザベス女王二世の母)のために作られた英国女王の王冠にセットされています。 王冠はTower of London(ロンドン塔)にて他の戴冠用宝珠とともに見学可能です。
31.06ctのWittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ グラフ、Wittelsbach Blue(ヴィッテルスバッハ ブルー)としても古くから知られる)もまた王族の由来がある有名な楕円形ダイヤモンドです。 原石はおそらくインドの名高いゴルコンダ地方にて採取されました。 1666年頃、マルガリータ・テレサ・デ・エスパーニャの花嫁持参金の一部としてハプスブルク家に贈呈されました。 1722年に再度、花嫁持参金の一部として使われ、このときはヴィッテルスバッハ家への嫁入りでした。 1931年にWittelsbach Blue(ヴィッテルスバッハ ブルー)は突如姿を消し、1961年に再発見されるまで30年もの間隠されていました。 2008年12月にロンドンの宝石商、Lawrence Graff(ローレンス・グラフ)に2430万ドルで売却された後、もともと35.56ctでクッション・シェイプの変形ブリリアントカットであったダイヤモンドは、31.06ctの楕円形にリカットされてファンシーディープブルーとなり、Wittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ グラフ)と改名されました。
世界的なニュースになったもう一つのオーバルシェイプ・ダイヤモンドは、香港の宝石商 Chow Tai Fook(周大福)が2017年4月に7120万ドルで購入した59.60ctのインターナルフローレス、ファンシービビッドピンクダイヤモンドです。 多くの人からPink Star(ピンクスター)あるいはSteinmetz Pink(シュタインメッツ ピンク)として知られており、これはこれまでオークションで落札された最高額のダイヤモンドになりました。 小売業者はこれをCTF Pink Star(CTFピンクスター)と改名しました。 このダイヤモンドは1999年にボツワナで採鉱されたものです。 132.50ctの原石を最終的な形にするまで、カッターは2年を要しました。
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの注目すべき点
オーバルシェイプ・ダイヤモンドを購入する際は、ダイヤモンドの品質の4Cを調べてください。 GIAはラウンドブリリアントの品質を決めるように、オーバルシェイプ・ダイヤモンドにもカラット重量、カラー、クラリティを決める同じ基準を使用しています。 これが探している品物の的を絞るためにも役立ちます。
長さ対幅の比率
オーバルシェイプ・ダイヤモンドを見る際は、プロポーションに留意してください。 2009年にGIAが行った形の好みの総合的な調査によると、消費者や取引の専門家は長目の楕円形を好む傾向があります。 調査では、最も人気の高い楕円形の長さ対幅の比は1.7:1と示されました。 しかしながら、オリジナルの原石からそのような長い楕円形のダイヤモンドにカットするのは現実的ではありませんから、そういった石はめったに見られません。 もっと一般的な楕円形は、比率が1.3:1から1.4:1です。
シンメトリー
シンメトリーは楕円形ダイヤモンドの美しさを作り出すために重要です。 楕円形ダイヤモンドの対称性を判断するためには、中央に仮想の線を引きます。 二分されたそれぞれの形とファセッティングが互いを鏡のように映し出していなければなりません。 そして、楕円形の中央に横に仮想の線を引きます。 同じように、2つの半分の形とファセッティングは同一であるべきです。
シェイプ アピール(形の魅力)
上品な輪郭と各部の釣り合いの調和が取れたオーバルシェイプ・ダイヤモンドを探しましょう。 魅力的だと思える石を見つけるには、いくつか異なるオーバルシェイプ・ダイヤモンドを比べると良いでしょう。 一般的な形のバリエーション:
ガードルの厚さ
ガードルはクラウンとパビリオンが交わる部分です。 ダイヤモンドの外周を縁取り、セッティングのエッジとして機能します。 ガードルの厚さは、ファンシーシェイプでもラウンドと同様に判断されます。 GIAダイヤモンドグレーディングレポートにあるダイヤモンドのプロポーション図を必ず確認してください。 図は石の平均的なガードルの厚さのパーセンテージを示し、ガードルが厚過ぎたり薄過ぎたりしないか示唆します。 厚過ぎるガードルはフェースアップの外観から通常考えられるよりも重いダイヤモンドになる原因となり、薄いガードルは欠けなどの損傷のリスクが増えます。
ボウタイ効果
ボウタイ(=蝶ネクタイ)が見えるものを求めましょう。 ダイヤモンド業界用語の「ボウタイ」とは、ダイヤモンドのテーブルに現れる暗色のリボン型のパターンのことです。
ボウタイがなぜ現れるのでしょうか。ダイヤモンドのファセットは一連の鏡のような役割をし、周囲の光を集め、見ている人の目にその光を返します。 石を見ると、見えている暗いコントラストは、ダイヤモンドに入るはずの光を、見ている人の頭部や肩がさえぎっている反射です。 ダイヤモンドに顔を近づけるほど、蝶ネクタイがはっきりと分かるでしょう。
ダイヤモンドが精巧にカットされていれば、蝶ネクタイは最小限に抑えられますが、自分の前にダイヤモンドを置くと、必ずある程度の蝶ネクタイが現れます。
オーバルシェイプ・ダイヤモンド婚約指輪のセッティング
オーバルシェイプ・ダイヤモンドの婚約指輪のセッティングには数多くの選択肢があります。 それぞれのセッティングにより見た目は著しく異なってきます。 いくつか選択肢をご紹介します。
ヘイローセッティング
小さめのダイヤモンドがセンターの楕円形の石を囲むヘイローは愛らしい装飾です。 これにより形を際立たせ、ダイヤモンドの見た目を大きくしてくれます。 異なる金属の色やサイドストーンを選択すると、人目を引く外観になります。
プロングセッティング
プロングセッティング(爪留め)は、オーバルシェイプ・ダイヤモンドの良い選択肢です。 ダイヤモンドを紛失から守るだけでなく、バンドからダイヤモンドの高さを出し、宝石に注目が集まります。
ベゼルセッティング
ダイヤモンドの周囲を金属で完全に囲むベゼルセッティング(覆輪留め)は、アクティブな日常の方にはすばらしい選択肢です。 ダイヤモンドを保護するには効果的な手段で、また楕円形の美しさを強調します。
サイドストーン
オーバルシェイプ・ダイヤモンドは実際、どんな種類のサイドストーンとも合います。 ハーフムーン型のダイヤモンドは楕円形の繰り返しを生み、魅力的な選択肢になります。 バゲットやテーパードバゲットは、カラー宝石のようにコントラストを作り出すことがあります。 センターストーンのオーバルシェイプに合うダイヤモンドのサイドストーンが欲しい場合は、大きいダイヤモンドのカラーグレードから1、2段階以内のダイヤモンドを選択しましょう。そうすれば美しさが競合しません。
広めのバンド
オーバルシェイプ・ダイヤモンドは、その形から、広めのバンドがよく合います。
オーバルシェイプ・ダイヤモンドは、美しく、クラシックで、そして少しだけ特別な感じがあります。 婚約指輪には素晴らしい選択です。
他にはないダイヤモンドの婚約指輪を作ろうとしているならば、他にも数多くのファンシーシェイプの選択肢があります。 マーキスダイヤモンドもいいかもしれません。
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