カラーストーンの婚約指輪が大人気です。ロイヤルファミリーやセレブなどが身につけるのが見受けられます。カラーストーンは美しいです。そして珍しいものです。また、カラーストーンには非常に高価なものもあります。今回は購入される際に知っておくべきことをご紹介します。
この記事の内容は次のとおりです。
- カラーストーンの婚約指輪が人気の理由
- カラーストーンの婚約指輪の素晴らしさ
- 耐久性とカラーストーンの婚約指輪
- カラーストーンの婚約指輪で注目すべきその他の品質について
- カラーストーンの婚約指輪のお手入れ
- カラーストーンの婚約指輪のセッティング
- カラーストーンの婚約指輪を買うには
カラーストーンの婚約指輪が人気の理由
カラフルな宝石を使用した婚約指輪がロイヤルファミリーやファッションアイコン達の指先を飾ったことで、従来の無色のダイヤモンドの婚約指輪に、ポップな色を加えたり、個性を与えたりといったほんの少し前のトレンドが再び盛んになってきました。
おしゃれな人たちの中には、ピンク、イエロー、ブルーといったダイヤモンドでカラー・ミー・ルックを決める人がいる一方で、カラーストーンの世界から自分の色を見つけ出す人もいます。
200年以上前の1796年に、ナポレオン・ボナパルトはのちの皇后ジョセフィーヌに婚約指輪としてサファイアとダイヤモンドのToi et Moi(トワ エ モワ、「あなたとわたし」)リングをプレゼントしました。
今日では、ケンブリッジ公爵夫人のケイト・ミドルトンが身に着けているのが最も有名なカラーストーンの婚約指輪でしょう。美しいこの指輪はかつてはダイアナ妃のもので、ダイヤモンドに囲まれた12ctのサファイアが際立つデザインです。
結婚によりケイトのいとこになり、最近婚約をしたアンドルー王子とサラ・ファーガソンの娘であるユージェニー王女は、丸いブリリアントカットのダイヤモンドに囲まれたわずかにオレンジがかったピンク色のパパラチャ・サファイアを選びました。指輪のスタイルは、彼女の母親(ヨーク公爵夫人)が受け取ったダイヤモンドのヘイローに囲まれたルビーの婚約指輪を思い起こさせるデザインです。
セレブリティの世界では、女優ジェニー・マッカーシーがダイヤモンドに囲まれた10ctのイエローサファイアの婚約指輪を身につけています。アシュリー・シンプソンのヴィンテージスタイルのリングはカリブレカットのルビーに囲まれたマーキスダイヤモンドが特徴的です。エリザベス・ハーレーはご自慢の2つのトリリアントカットのダイヤモンドを両脇に配置したクラッシックなデザインの9ctのブルーサファイアを身につけています。
これらのトレンドセッターや他の多くの花嫁たちにとっては、カラーストーンを婚約指輪に取り入れることで、それぞれのスタイルや個性を表現するための選択肢が増えます。そういったスタイルは、時代を超えたものであると同時に現代的でもあります。
カラーストーンの婚約指輪の素晴らしさ
カラーストーンの婚約指輪について愛すべき点はたくさんあります。1つはもちろん明らかなことですが、色です。色のついた宝石の世界を探索すると、ルビーの深い赤色やサファイアのさまざまな青色から、ツァボライトガーネットの草原の緑色、スピネルの万華鏡の色彩まで、虹のようにとりどりの色を見つけることができます。思い浮かべられるあらゆる色合いの宝石があります。
2つ目に、カラーストーンを使うことによって、婚約指輪に深い意味を含めることができることがあります。例えば、あなたとパートナーの誕生石を単独で、あるいはダイヤモンドと一緒に加えることができます。カラーストーンには、歴史的な象徴の意味を持つものもありますので、あなたの心に留まる石を選ぶのも良いでしょう。例えば、サファイアは古くから誠意、真実、忠節を象徴するものとされてきました。
また、カラーストーンで秘密のメッセージを送ることもできます。ビクトリア朝時代の人々は、宝石の最初の文字で単語を綴るアクロスティックジュエリーでメッセージを表現しました。例えば、diamond(ダイヤモンド)、emerald(エメラルド)、amethyst(アメシスト)、ruby(ルビー)を使うと「dear(親愛)」となります。アクロスティックジュエリーはまた、誕生日、プライベートなメッセージあるいは、あなたとあなたの愛する人が共有する秘密などをデザインに取り入れることができます。
最後に、手頃な価格ということがあげられます。カラーストーンを使って、婚約指輪にサイズ感を出すのはとても良い方法です。これはまさしく、ルビーとサファイア以外の同じように美しいけれどそれほどよく知られていない宝石に目を向けた場合に言えることで、さらにそうした石の価格は通常かなり低くなります。例としては、ピンクのベリルであるモルガナイトや、スピネルとトルマリンのさまざまな色のもの、または濃緑色や赤色またはオレンジ色ならばガーネットなどがあります。
モルガナイトの婚約指輪は、結婚を控えた女性たちに最近人気ですが、それには理由があります。ピンクは古くからロマンスを表す色です。そしてモルガナイトには、パステルピンクから紫がかったピンク、黄色がかったあるいはオレンジがかったピンクなど色の幅が広く見られます。ピンクダイヤモンドにも同じような色相がありますが、ピンクダイヤモンドの価格のごく一部の代金で、大きくて魅力的なモルガナイトを手に入れることができます。
ブルージルコンは分散度が高いため、ブルーダイヤモンドと間違われることがよくあります。ところが1ctのブルーダイヤモンドの価格は、ほとんどの買い手には手の届かないものですが、3~4カラットのブルージルコンの婚約指輪なら平均的な月給よりはるかに少ない金額で購入することができます。
スピネルとトルマリンも、幅広いカラーオプションがあり価値のある宝石です。2つとも上質なルビーやサファイアとよく似た色合いのものがありますが、最高品質の5ctのレッドトルマリン(ルベライト)は、同等の2ctのルビーの3分の1以下の価格で購入でき、ご予算に対してより豪華に見せることができます。
カラーストーンの婚約指輪として、あまり知られてはいないにしても非常にエキサイティングなものの1つに、ツァボライトと呼ばれる緑色のガーネットがあります。エメラルドより高い耐久性と、より明るい色合いを持つことも多く、色は似ていますが、ツァボライトガーネットなら高品質なものでも通常はエメラルドより安価です。
さまざまなカラーストーンがあるので、ぜひ、あなたの心に火をつけるものを探して、日常着用するのに十分な耐久性があることを確認しましょう。
耐久性とカラーストーンの婚約指輪
婚約指輪の宝石を探す際に、耐久性は大きな考慮事項です。あなたが選ぶ宝石は、日常装着時の摩耗や衝撃に加えて、熱、光、家庭用化学薬品、乾燥または高湿度に耐えれるものでなくてはなりません。それぞれの宝石には異なる特性があり、そのため、これらの要因に対する耐久性も異なります。
宝石の耐久性の一つとして硬度があります。モーススケールとは宝石や鉱物の硬度を 1(最も柔らかい滑石)から 10(最も硬いダイヤモンド)までの尺度で格付けしたものです。ルビーとサファイアの格付けは9です。つまりこれらの宝石は傷や磨耗に耐久性があるということになります。このことにより、ルビーとサファイアは生涯身につけられる婚約指輪として素晴らしい選択肢になります。いくぶんか硬度は低くなりますが、スピネル(8)、モルガナイト(7.5~8)、ジルコン(7.5)、ツァボライトガーネット、トルマリン(7~7.5)なども、きちんとお手入れをしていただければ(ロッククライミングはダメです!)毎日身につけるには十分な耐久性があると考えられています。
靭性と安定性は宝石の耐久性を決める2つの要因です。
靭性は宝石の割れや欠けに対する強さを示します。宝石の原子の結合の仕方やそれらの結合の強さによって宝石の靭性が決まります。靭性があまり優れていない宝石として、オパールやタンザナイトがあります。これらを指輪に使う際には日常的な着用ではなく、特別な機会用にするのが最適な使用方法です。
安定性とは、宝石が化学薬品、光、温度や湿度の変化に対していかに耐えることができるかを示すものです。極端な温度変化は、オパールやタンザナイトのような一部の宝石に損傷を与える可能性があります。オパールは、湿度が低かったり熱にさらされると、ひびや貫入が生じる原因となります。シトリン、アメシスト、トパーズのような宝石は、日光に長時間さらされると退色や変色をすることがあります。光および/または熱は、家庭用化学物質と同様に、真珠、珊瑚、琥珀などのほとんどの有機質の宝石にも悪影響を及ぼします。
多くのカラーストーンは通常、色および/またはクラリティを向上させるために処理が施されることを頭に入れておくことが重要です。宝石の本質的な美しさを引き出すために施されるこれらの処理の多くは、宝石業界で広く受け入れられています。しかし、宝石に施された処理の中には、安定性にも影響を与えるものがあることに注意してください。そういった宝石には特別なお手入れが必要になります。
例えば、コーティングやフラクチャー充填のような処理は、熱や強い化学薬品にさらされると取れてしまう場合があります。エメラルドはモーススケールでは、7.5~8と格付けされていますが、靭性に乏しい宝石であり、クラリティを改善するために油および/または樹脂で処理を施すことがよくあります。この処理はまた、硬い表面にぶつけたりした場合に宝石が割れてしまう可能性がある宝石の内部の裂け目を隠します。緑色の宝石を婚約指輪にして毎日着用したいとお考えの場合は、エメラルドの代わりにより耐久性の高いツァボライトガーネットにして、エメラルドはイヤリングやペンダント用にすることをお考えになるのも一案です。
ガーネットは処理されることは滅多にありませんし、靭性も優れています。
カラーストーンの婚約指輪で注目すべきその他の品質について
カラーは最も重要です。
無色のダイヤモンドと同様に、カラーストーンの品質は4C(カラー、クラリティ、カット、カラット重量)で決まります。ただしカラーストーンの場合は、カラーが最も重要な要因になります。例えば、宝石がピンクサファイアとルビーのどちらの名前で呼ばれるか、またグリーンベリルとエメラルドのどちらで呼ばれるか、という場合では、色だけが区別の基準となります。クラリティは重要ですが、ほとんどのカラーストーンには、クラリティを評価するための普遍的な評価システムや基準がありません。そして、カットは石により大きく異なります。ですから、カラーストーンにおいては通常、大きさと色を最大限にすることが最終的な目標になります。あるいはファンタジーカットの場合のように、芸術作品を創作することです。
しかし、前述の耐久性に加えて、カラーストーンの品質を評価する際には、いくつかの重要な検討事項があります。多くの宝石には1つ以上の色が見られます。本当にユニークな色の石の婚約指輪を望んでいる将来の花嫁には、バイカラーのトルマリンでこれが利点となります。
ブルーサファイアなどの他の宝石では、丁寧に観察すると見られる無色の領域が、宝石の全体的な外観を損なう可能性があります。ダイヤモンドと同様に、たいていのカラーストーンには高いクラリティが望まれますが、目立たない部分(例えばキューレット)にインクルージョンが多少確認できることで、(合成ではなく)天然の未処理の宝石だということがわかることもあります。
光学的効果
カラーストーンはまた、ダイヤモンドには見られない、シャトヤンシー(キャッツアイ効果、猫目効果)やアステリズム(スター効果、星彩効果)などの現象を引き出すこともあります。
これらの現象は、カボションとしてカットされた宝石類の中にある、高密度の鉱物の内包物から反射した光によって引き起こされます。そのような現象を持つ石は、カラーストーンの婚約指輪として心が躍るようなデザインオプションを提供します。
宝石の産地
ルビーやサファイアなどのように、一部の宝石では、原産地も価値を決定する上で重要な役割を果たします。例えばミャンマー産のルビー(「ビルマ」ルビー)は、モザンビークなど他の原産地のルビーに比べてかなり高額になります。同様に、カシミール産のサファイアでは、特有の「コーンフラワーブルー」の色とその希少性のために高額になります。ただしこの地域では、1世紀以上にわたって主だった生産は行われていません。
誰が所有していたのか
価格を決定するもう一つの重要な要素は、歴史的な由来になります。アンティークまたはヴィンテージのカラーストーンの婚約指輪には、指輪自体に歴史があり、その歴史に価値がある場合があります。最も印象的な例の1つとして、前述のジョセフィーヌ皇后のサファイアとダイヤモンドの婚約指輪があげられます。2013年にオークションに出品された際には、オークションハウスはその価値を宝石だけで2万ドルと見積もっていました。最終的には、落札者は100万ドル以上の価格を支払うことになりました。ナポレオン・ボナパルトと彼の最初の花嫁にまつわる伝説的なリングに巨大なプレミアムがついたというわけです。
品質と希少性が価格を左右する
ダイヤモンド同様、高品質のカラーストーンは希少であるため、購入者は通常、最高品質のカラーストーンにはプレミアムを支払います。あなたの婚約指輪の宝石を決めたら、色々な店舗で比較をして品質の要因とそれががどのように価値に影響するかを理解しておいて損はありません。また、選んだ宝石についてできる限りの知識を得るべきです。GIAの宝石百科事典(GIA’s Gem Encyclopedia)は最初に読むのに最適です。この百科事典では、市場で最も人気のある宝石のうち、29種類について詳細な情報を提供しています。また、それぞれの宝石について、知っておくべき特質、宝石の耐久性、一般的な処理などを記載した詳細な購入ガイドもご覧になれます。
カラーストーンの婚約指輪のお手入れ
カラーストーンの婚約指輪を購入したら、それをいつでも新品のような状態に保っておきたいことでしょう。正しいお手入れ方法は、あなたが選んだ宝石の素材とそれが処理されているかどうかによって異なります。通常、繊細な宝石用に特別に配合された弱い洗浄液があればよく、あるいは温かい石鹸水と柔らかい布でもよいでしょう。もし選んだ宝石の耐久性がわからない場合は、超音波洗浄器は使用せず、また既成の洗浄液も使用しないでください。
カラーストーンの婚約指輪のセッティング
婚約指輪のセッティングは、宝石を確実にホールドする、そしてその宝石の長所を最大限に引き出す必要があります。ベゼルやヘイロー、その他の保護のためのセッティングは、カラーストーンの欠けやひび割れを防ぐのに重要な役割を果たします。しかし、実用性と美しさは両立できないなんて誰が言いましたか?セッティングは婚約指輪のスタイルと全体的な外観を左右する大切なデザイン要素でもあるのです。セッティングにより、色のコントラストまたは調和性が生まれ、あなたの指輪の色をどれだけ見せるかをちょうどよく調整することができます。これらの例をご参照ください:
- スリーストーンの婚約指輪 スリーストーンの婚約指輪は象徴性に富んでいます:宝石が昨日、今日、そして明日を表しています。これを身につけることであなたは愛は永遠だと主張することができるでしょう。このスタイルは何年経っても古びた感じになりません。スリーストーンのダイヤモンドの婚約指輪の起源は少なくとも17世紀までさかのぼることができます。ルビー、エメラルド、サファイア、オニキスなどで、ダイヤモンドとプラチナの白いキャンバスに色を加えることがアールデコの時代に流行しました。
- ヘイローセッティング このセッティングは、センターストーンを囲む宝石の輪が特色です。ヘイローセッティングを用いたダイヤモンドの婚約指輪は美しく、輝きが増し、またセンターストーンをより大きく見せるため、ここ数年間は特に人気があります。ヘイローセッティングはカラーストーンの婚約指輪にも好んで使われます。センターストーンが大胆な色を見せる一方、ダイヤモンドやカラーストーンで形作られた輪が輝きとコントラストを加えでるだけでなく、取り囲む宝石を保護します。
- バイパスリング 少し違った感じの外観と色みのある婚約指輪をお求めですか?バイパスリングという、繋がった円ではなく、バンドが重なるスタイルを考えてみましょう。バイパスリングはビクトリア朝時代に人気がありました。こうしたtoi et moi(トワ エ モア「あなたとわたし」)リングに込められた気持ちは、確かにロマンチックな特別な意味を持っています。
ジュエリーデザイナーは、スリーストーンやヘイロー、バイパスのデザインのリングに、カラーストーンを用いて現代的な印象を加えています。それらの現代的なスタイルへのアップデートは、過去と現在の美しい融合であり、色と生命に溢れた作品になっています。
いろいろ見てみると、創造的な解釈の数々を発見することでしょう。
カラーストーンの婚約指輪を買うには
これでカラーストーンの婚約指輪について知ることができ、買い物を始める準備ができました。でもどこから始めていいのかわからないですか?GIAの小売業者検索では、GIAにより訓練を受けたスタッフのいるお近くの店舗を簡単に探すことができ、あなたが宝石を選ぶプロセスのお手伝いをさせていただきます。
最高の価値を得るためにも、公平なGIAのカラーストーン鑑別レポートをお求めください。このレポートでは、宝石の同定を確認し、サイズ、色、寸法、カラー写真の詳細な説明が添えられています。またこのレポートには、宝石に処理が行われたかどうかについても記されます。宝石が処理されている場合は、処理の種類についても記載されます。これは宝石のお手入れ方法を知る上で重要となります。宝石によっては、地理的な起源に関する情報を得ることもできます。
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