多くのジュエラーでは、セミマウントのリング(日本では一般的にセミオーダーリングと呼ばれる)を利用することでオリジナルの婚約指輪を作るオプションを提案しています。部分的に既製の部品を用いて完全にオリジナルの外観を作ることができ、多くの場合フルオーダーの婚約指輪よりも早く、かつ費用を抑えて作製できます。
この記事の内容は次のとおりです。
婚約指輪はセミオーダーかフルオーダーか?
セミオーダーでオリジナルの婚約指輪を作製するために知っておくべきこと
セミオーダーリングとは?
セミオーダーリングはどのようにカスタマイズできるか?
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:各部を理解する
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:宝石を選択する
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:金属を選択する
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:スタイルを決める
婚約指輪はセミオーダーかフルオーダーか?
厳密に言えば、フルオーダーの婚約指輪は、一から作製する一点物、つまりご自身のお好みの仕様に合わせてデザインして作製されたあつらえのリングです。
一方で、既成のパーツから選んでオリジナルの婚約指輪をあつらえるセミオーダーという方法もあります。ご自分でダイヤモンドを選択し、どのようにセッティングするかを決め、オリジナルの婚約指輪を作製できます。リングのスタイル、金属の素材、その他の要素を、決められたオプションメニューの中から選択するのです。すべて同じ素材を使ったとして、こういったタイプの婚約指輪ならば、独特の外観をもたせつつ、フルオーダーの婚約指輪より大幅に価格を抑えることができます。各部は既製品のため、フルオーダーの婚約指輪のデザインにかかる時間と労力を削減できます。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーで作製する場合、いくつか制限事項があることを理解しておかなければなりません。既製のパーツから選ぶのですから、パーツのデザインや構造の変更はできません。さらに、既製のセッティングのスタイルの中には、選択できるセンターストーンのサイズ、形、カットが制限されるものもあります。ですがオプションは非常に多く、少しリサーチするだけで、何の問題もなくご自身の愛を表す美しい婚約指輪を作ることができるでしょう。
セミオーダーでオリジナルの婚約指輪を作製するために知っておくべきこと
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーで作製するためにパーツを選ぶとき、たくさんの取捨選択をしなければなりません。通常は、まずジュエラーがいくつかの質問をしながらあなたの求めているスタイルや予算の概要を掴んで、選択肢を絞っていきます。前もって少しリサーチしておくと進めやすくなります。オンラインや店舗で見て、数多くある婚約指輪のデザインのイメージを掴んでおきます。もちろん、婚約者のお好みを理解しておくことも重要です。自信を持てない場合は、婚約者が身につけているジュエリーや、友人やセレブの婚約指輪への彼女のリアクションについて、気をつけて見ることから始めてみましょう。
検討すべき点の例をいくつか挙げましょう:
- 予算は?
- 婚約者はゴールドが好きか、プラチナが好きか?
- 婚約者が好きなダイヤモンドの形(ラウンド、スクエア、オーバル、その他)は?
- ダイヤモンドのソリティアか、それともサイドストーンをつけるか?
- 総合的な目標は?最高のきらめきのダイヤモンド?予算内で購入できる最も大きなダイヤモンド?
- 刻印を入れますか?結婚記念日や「I love you」(愛してる)、「Forever yours」(永遠に君のもの)といったロマンチックなメッセージをバンドの内側に刻印できます。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーで作製するとき、異なるダイヤモンドの形を組み合わせてセッティングすることもできます。これには、金属(イエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナ)の選定や、マウントのスタイル(コンテンポラリーかクラシックか、ダイヤモンドメレー付きか、など)の選択も含まれます。ジュエラーは店内にあるサンプルや、さまざまなマウンティング(石留め用の空枠)を製造しているメーカーのカタログ、あるいはメーカーのウェブサイトを見せてくれることもあるでしょう。お好みのパーツを選びましょう。
ジュエラーによって、多種のセミオーダーのリストやダイヤモンドのストックを持っているところや、業者に発注する必要があるところ(これは簡単な作業で、早ければ2日くらいでパーツが届く)があります。パーツの準備ができたら、ベンチジュエラーがリングを組み立てます。スタッフとしてベンチジュエラーがいる店舗もあれば、外注契約をしているところもあるでしょう。
セミオーダーリング(セミマウントリング)とは?
マウンティングとは、石をセットする前の段階の既製のリングを指します。リングの全体のデザインには、センターストーン用のヘッドやサイドストーン用のヘッドも含まれ、またチャネルセット、ビーズセット、パヴェセットのダイヤモンド用のスペースがある場合もあります。
セミマウントリング(セミセットリングとも呼ばれる)とは、メレーやバゲットダイヤモンド、あるいはカラーストーンが既に部分的にセットされているマウンティングです。センターストーン以外の宝石はすべてついており、センターストーンを選択できます。
セミオーダーリングはどのようにカスタマイズできるか?
これは枠のタイプによります。セミオーダーリングの中には、シングルピースとして鋳造されていて、センターストーンのサイズや形が限られるものもあります。
他には、センターのダイヤモンドを実際にセットするマウント部分であるヘッドが変更可能なオプションがあることもあります。これにより、石とは対照的な金属を選んだり、異なる形やサイズのダイヤモンドを選んだりと、柔軟性が広がります。ヒント:後からダイヤモンドを交換することを予定してオリジナルの婚約指輪を作製したいと考えている場合は、取り換え可能なヘッドのセミオーダーリングが良い選択肢です。
セミオーダーの実際の利点は、ダイヤモンドメレーが既にセットされているという点です。できあがりのリングがどのような外観になるか、わかりやすいヒントになります。メレーダイヤモンドのカラーやクラリティの幅が示されているセミオーダー枠が多く、また選ぶセンターダイヤモンドの品質特徴にできるだけ合うメレーのついた枠をオーダーできることもよくあります。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:各部を理解する
オリジナルの婚約指輪を作製する前に、これまで登場した用語など、メインのパーツを簡単におさらいしましょう。
マウンティング:マウンティング(セッティング)とは、リング全体を形作る金属の枠です。シャンクがあり、またヘッド、チャネル、その他メレーをセットするために使用する金属のパーツがついている。マウンティングとセッティングという用語は、業界ではほぼ同じ意味で使われています。
シャンク:シャンク(腕とも呼ばれる)とは、リングの円の部分を指し、指を囲む部分です。バンドと呼ばれるのを耳にしたことがあるかもしれません。
ヘッド:センターダイヤモンドをしっかりと留めるマウンティングのパーツ。ヘッドにはプロング(爪)タイプやベゼル(覆輪)タイプがあります。ヘッドの金属はマウンティングと同素材、あるいはコントラストを作るために異なる色を選ぶこともできます。ヘッドは大概、取り換えが可能です(例:ペグスタイルのヘッド)。マウンティングにセットする石の形やカッティングスタイルにより、使用するヘッドのタイプが決まります。
プロング: プロング(爪)とは細い金属のサポートを指し、通常は4本または6本のグループになっており、マウンティングに宝石を固定します。六本爪のセッティングは、四本爪のセッティングよりもプロングの破損に際して保護力が高いです。逆に、四本爪のダイヤモンドは石の上にくる金属部が少ないため、ダイヤモンドの見た目の印象が強まります。検討すべき点は他にもたくさんありますので、どちらを選ぶか: 婚約指輪の四本爪対六本爪で利点と欠点をご覧ください。
ベゼル:このセッティングスタイルの特徴は、宝石の周囲を薄い金属片で押さえ込む、あるいはハンマーで打ち付けることで宝石を固定することです。石の角がぶつかってもベゼルが保護してくれる反面、輝きは抑えられることになります。
チャネルセッティング:チャネルセッティングでは、同一サイズの宝石が端から端まで、間に金属を挟むことなく、2本の平行な金属壁に沿ってセットされています。このセッティングスタイルはダイヤモンドメレーによく使われます。
ビーズセッティング:このスタイルでは、金属にドリルで小さな穴を開けたところにダイヤモンドまたは他の宝石をセットします。そして、周囲の金属をビーズ状に押し上げて宝石を固定します。
パヴェセッティング:パヴェは小さなダイヤモンドを間隔を詰めてハチの巣状の型に配置したビーズセッティングのスタイルの一種です。ビーズセッティングのように、ダイヤモンドは金属にドリルで小さな穴を開けたところにセットされ、小さな金属ビーズで固定されます。どこまでも続く輝きをもったダイヤモンドの面が作られます。
ヘイロー:このデザインスタイルは通常、センターストーンを囲うように小さな無数のダイヤモンドをあしらいます。ダイヤモンドにはビーズセットやチャネルセットがよく使われます。ヘイローは、きらめきが加わり、またセンターのダイヤモンドを大きく見せることができるため、非常に人気です。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:宝石を選択する
ダイヤモンドは普遍の愛のシンボルになっています。このステータスの高さがあることから、ダイヤモンドをたくさんあしらった婚約指輪を作製したいと思われることは不思議ではありません。ダイヤモンドのセンターストーン、サイドストーン、またメレーを使えば、婚約指輪に特別なきらめきが保証されます。
ダイヤモンドセンターストーン:センターストーンはショーのスター的存在です。だから予算内で最高のダイヤモンドを選びたいと思われるでしょう。どこから始めれば良いか迷っていらっしゃいますか?形を決めましょう。ラウンドダイヤモンドは婚約指輪で最も高い人気を得ています。スクエアダイヤモンドはプリンセスカットによく見られ、こちらも人気です。また楕円形、長方形、マーキス、ハート型など他にもあり、それぞれの形に特別な外観やスタイルを作る長所があります。どのダイヤモンドの形を選べば良いか迷われていますか。GIAのダイヤモンドの形のガイドが役に立ちます。
きらめきのあるダイヤモンドであれば、ブリリアント・ファセッティングの型の一品を選択しましょう。この宝石のカッティングスタイルは、さまざまな形に応用されていて、ダイヤモンドのセンターからガードルに向かって三角形や凧型のファセットが放射状に広がります。人気のラウンドブリリアントカットダイヤモンドは57から58のファセットがあり、キューレットがファセットカットされているかどうかで数が決まります。
選ぶダイヤモンドの形やカットに関わらず、ダイヤモンドの品質の4C: カラー、クラリティ、カット、カラット重量になじんでおきましょう。こういった特徴を優先しようという場合は、最も重要なCは何かをご覧ください。要点を理解したら、オリジナルの婚約指輪を作製するために最適なダイヤモンドを選択できるでしょう。
ダイヤモンドのサイドストーン:サイドストーンはサポート役ですが、婚約指輪で重要な役割をしています。センターストーンの脇を守り、リングにきらめきを加えます。さまざまな形とサイズのダイヤモンドから選びましょう。バゲットはサイドストーンによく使われます。小さくて、通常は側面がストレートあるいはテーパードになった長方形のステップカットダイヤモンドです。正方形に近いバゲットもあれば、長さ対幅の比率が5:1ほどのものや、それ以上に長いものもあります。
スリーストーンの婚約指輪は、クラシックな外観ですが、ハリー王子がメーガン・マークルさん(現サセックス公爵夫人)に贈った婚約指輪ということもあり流行しています。
メレー:ダイヤモンドメレーを加えると、確実にダイヤモンドの婚約指輪にたくさんのきらめきを与えられます。このようなダイヤモンドは0.001カラット(1カラットの千分の一)ほどの小さいものからあり、小さなラウンドブリリアントカットにカットされており、センターストーンの周りやバンドに沿ってセットされることがよくあります。
メレーダイヤモンドはセミマウントに欠かせません。センターダイヤモンドにアクセントをつけるため、一般的にヘイローとして使用されます。メレーはチャネル、ビーズ、パヴェセットにも使用できます。メレーはまた、シャンクや、プロング部分にも取り付けることができ、目を引くきらめきのある外観が生まれます。選択されたセミマウントは、リングに設定するメレーのセッティングスタイルの選択を反映します。
カラーストーン:ダイヤモンドの婚約指輪を別の方法で強調しようという場合は、色のある宝石をご検討ください。サファイアとルビーは、クラシックなチョイスの2つです。何千年も前から大切にされているこの2つの宝石は、センターストーンとしても主役の役割を果たし、またサイドストーンやメレーとしてダイヤモンドを美しく完成させる役割にもなります。モーススケールの硬度はどちらも9で、日常的な使用に十分な耐久性があります。
婚約指輪のセンターストーンにカラーの宝石を使うとなると、モルガナイト、ガーネット、スピネルなど、さらにたくさんの選択肢を持てます。いずれもダイヤモンドのセミマウントに際立つ外観をもたらしてくれるでしょう。GIAの購入ガイド:カラーストーンの婚約指輪は、どのカラーストーンが最適か決める時に役立つでしょう。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:金属を選択する
イエローゴールド、ローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナはセミマウントリングの金属の選択肢です。美しい金属で耐久性もあり、生涯着用するリングとして理想的な品質です。
それぞれの金属が異なる外観を呈します。ホワイトメタルは、艶のあるモダンな美学にぴったりです。イエローゴールドは伝統的な選択です。ローズゴールドはロマンスを連想させ、流行でもあります。それぞれの時代で異なる金属の人気が高まることもありました。アールデコ時代にはプラチナ、レトロ時代にはローズゴールドといった具合です。スタイルやその時代を呼び起こすために使用することもできます。
イエローゴールドのバンドにホワイトゴールドのプロングといったように、金属の混合も流行しています。ダイヤモンドや宝石の色によって、ジュエラーが異なる色のプロングを勧めることもあります。例えば、DからJの色の範囲のダイヤモンドを選択している場合、ホワイトのプロングは色のなさを強調します。MからZの色の範囲の石の場合は、イエローのプロングがダイヤモンドのかすかなイエローにアクセントとなります。目標は、ダイヤモンドや宝石の美しさをよく際立たせることです。こちらに婚約指輪のために適切な色のゴールドを選ぶガイドをご紹介します。
オリジナルの婚約指輪をセミオーダーする:スタイルを決める
ご自分のオリジナルの婚約指輪を作製するステップを見ながら、セミオーダーにたくさんのオプションがあることがおわかりになるでしょう。素晴らしいことですよね。難があるとすれば、たくさんオプションがあることです!ではどのように選べばよいでしょうか?
特定のスタイルを心に決めておくと役立ちます。インスピレーションをお探しならば、ビクトリア朝、アールヌーボー、エドワード朝、アールデコ、レトロ時代の婚約指輪を見ることから始めるとよいでしょう。独特なモチーフ、人気のダイヤモンドの形、その他の特徴が各時代を際立たせています。彫刻やフィリグリー、歴史的に特定の時期を思わせるその他の装飾品をあしらったセミマウントのリングをたくさんご覧になることでしょう。そのようなテーマからひとつ選ぶのもオリジナルの婚約指輪に個性と雰囲気を持たせる確かな方法です。
もっとコンテンポラリーなセッティングが良い場合は、ブライダル誌をめくってみたり、オンラインで見てみたり、できればジュエリーストアに行く時間を作って数多くあるセミマウントリングのオプションをよく知ると良いでしょう。
オリジナルの婚約指輪を作製する準備が整いましたか?あるいはインスピレーションをお探しですか?GIAのブログ、婚約指輪のスタイル:7つの魅力的なトレンドには、独特の美しさがある、大切な方のための婚約指輪を作成するアイデアがもっとあります。
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